「座る仕事」はどこまで腰への負担が大きいのか?(Nachemson 1976はどこまで信用できるか)

(ちょっと調べたことのメモ記事。自分の専門性とは関係ないタイプの調べ物だったので、こっちにメモを書きます。)

 

座ることについての話を検索すると、だいたい日本語圏だと、「座るときの腰への負担は立つことの1.4倍!」という話がNachemson(1976)を根拠にして主張されているものがたくさん見つかるのだけど、「1976」ってあんたもう41年前の研究じゃないですか、と。いくら有名な研究でもさすがに批判的な検討がすすんでるでしょうよ、と思ったので少し調べました。

 

で、調べたら案の定、そこまで「座るときの腰への負担は立つことの1.4倍!」という話はそれほど支持されていないようです。

とくに、Wilke et al(1999)だと、Nachemson(1976)論文と、近い結果となっている部分はありつつも、猫背で座るのは確かに問題であるものの、きりっと座ることについては、そんなに負担が高いというわけではなさそう。(下記の図は、Wilke, H. J., Neef, P., Caimi, M., Hoogland, T., & Claes, L. E. (1999). New in vivo measurements of pressures in the intervertebral disc in daily life. Spine, 24(8), 755-762.)

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http://fonar.com/pdf/spine_vol_24.No.8.pdf

あと、もひとつ、システマティックレビューをやっている論文としては、

Lis, A. M., Black, K. M., Korn, H., & Nordin, M. (2007). Association between sitting and occupational LBP. European Spine Journal, 16(2), 283-298.

が面白い。図は、同論文より、いろいろな職業ごとの腰痛(LBP)持ちのパーセンテージを比較したもの。

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オフィスワーカーの腰痛持ちはたしかにそれなりにいるのだけれども、歯科衛生士とか、トラクタードライバーの腰痛持ちパーセンテージとかのほうがかなりやばい。

ということで、こちらの論文は腰痛がやばくなる要因としては、座ることというよりかは、

1.長時間座ること

2.変な姿勢での作業

3.体全体の振動

というあたりの複合要因で考えたほうがよかろうという話をしていて、トラクタードライバーとかはすべての要因を兼ね備えているので、「腰痛持ち」になるべく職業として最強なのではなかろうかとしている。