ゲーム以外の雑記(井上明人)

最近は、ほとんどキーボードの話をしています。

飛鳥配列の特徴について

 飛鳥配列をカスタムしていたら、いろいろと工夫されているポイントに気づいたのだけれども、もう、細かくいじっていたのが、半年ぐらい前なので、そのうち忘れそうな気分がしてきた。

 なんで、忘れないうちに、下記、簡単にメモを晒しておく。よく言われている部分も含めて書いておく。

清濁別置で高速な運指が可能(←→清濁同置による学習のしやすさ)

 言うまでもないかもしれないが、飛鳥配列は、親指シフトの清濁別置系配列の代表格といってもいいようなところがある。

 これによって、高速な入力のために最適化してた運指が目指されているが、一方で清濁同置の配列(月配列、ニコラ、薙刀式など)と比べると使いこなせるようになるまでの学習コストが高めになっている。

機能キーを打つための動作が少ない(←→単打率重視)

これも、見ればわかることだが、

Enterが、Eキー。

Deleteが、Yキー

Escが、Uキー。

BSは、カナキー

などに割り振られており、変換までのプロセスにホームポジションから、ほとんど指を動かさなくてもよいというところがある。

ただ、この特徴は単打率(シフトを押さずに打てる音の割合)を下げてしまうという問題や、英字入力に切り替えた際に違和感が出るといった問題もあるため、やや好みの分かれる特徴だと思う。

「かえであすか」などの派生配列では、機能キーをそこまで重視しない設計になっているものもある。

拗音(ゃょゅ)を使う語が左右交互打鍵で打てるようになっている

 拗音をつくりやすい子音は、そのほとんどが左手側に配置され、拗音(ゃょゅ)は右手に配置されているため、「しゃちょう」「きょうかしょ」などの拗音をつかった入力が左右交互打鍵で、気持ちよくできるようになっている。

 こうした特徴があるため飛鳥配列をもとに拗音拡張をしている「あまのあすか配列」や、私の独自拡張版のカスタマイズも、少しの変更を施すだけですんでいる。

 拗音拡張の配列にかかる練習時間を考えると下手に拗音拡張にするよりは、こういった左右交互打鍵のほうが簡単に覚えられる。

 学習コストが高くてもいいから、もっと高速に打ちたいという人は、拗音拡張がもとからされている配列である新下駄配列、蜂蜜小梅配列、あまのあすか配列などを使うといいだろう。

 

#ちなみに私が拗音拡張バージョンを作るときにすこしいじる必要があったのは、「C」の位置に、「み」「に」が両方はいっていたりするので、そこらへんは排他的な設計になっていなかっため若干の調整は必要となった。

 

捨て仮名(ぁぃぅぇぉ)を使う語も左右交互打鍵で打てる

 外来語に頻出する「ふぃ」「でぃ」の音などに対する対応も、考えられていて、「ぁぃぅぇぉ」は左手で、「ふ」「で」「ゔ」などの子音は右手で打てるようになっている。

#ただ、「てぃ」の音だけは頻度が高い音の中では、やや例外でちょっとうちにくい設計になっている。

アルペジオに対する配慮(←→単打率重視)

これはよく指摘されている点だが、

左シフトを押したままで「です」「ます」

右シフトを押したままで「この」「その」

などが打鍵できるようになっており、よく使う音のつながりが、同じ側のシフトになるべく納められている。

ただ、ここらへんは新下駄とか自然言語処理のデータをベースにして作られた配列のほうがより徹底されているかもしれない…………が、それはさておくとしても、飛鳥配列には、アルペジオに対するこだわりは強く感じられる。

データ的にいうと、この特徴によって単打率自体にはマイナスの影響もある。たとえば、「の」「く」「な」「る」など他の配列では、単打扱いに配置されている音が、単打ではなくなっているものがある。

1音ごとの単打率至上主義で、高頻度な音を頻度順に単打で並べていくのがいいのか、それとも2音以上の音の連なりに配慮してアルペジオを重視するのか、というトレードオフは難しい問題で、結局のところどちらが高速に打てるのかは難しいところはある。

とはいえ、2音以上の連なりの頻度に着目して設計されているというのは、素晴らしい工夫だと思う。

人差し指上段の頻度を下げることによるホームポジション維持(←→単打率重視)

 人指し指の上段のキーは、押そうとするとどうしても、人差し指を伸ばすために、手のひら全体を移動させるモーションが入ってしまうところがあるため、どうしても高速な運指にとってマイナスに働いてしまうところがある。

 そのため、飛鳥配列では、人差し指上段を使うRTUYのキーの打鍵頻度を下げるような配慮がなされている。

具体的には下記の通り、。

 

R:ぺ、び、ぁ

T:~、ぅ

U:!、ぬ

Y:ゔ、ぢ

 これも、単打率という点から言うとややマイナスだと言えるが、飛鳥配列は、単打率を上げることよりも「手の位置を動かさない」ということに重きを置いている配列だということが明らかだろうと思う。

右手重視(←→左手重視)

比較的打鍵頻度の低い音については右手の小指での入力ということになっている音がおおい。「でたそ」あたりのホームポジションでの入力以外だと

「へぽぞごげほろさぼ」などの音が右手小指入力となっており、一般的なキーボードのホームポジションを活かした設計になっているともいえる。

ただ、右手重視となると、基本的には右利きの人むけの配列だということになってしまうわけで、そうなると左利きの人はどうなの?という疑問が当然生まれてくることになる。派生配列の「かえでレフティあすか」は、こうした問題点に対応している派生配列となっている。

 

右手小指を活用(←→右手小指の負担軽減)

前述の点とかぶるが、右手小指をよく使う配列なので、よく言えば、右手をフル活用して打鍵をできるということになる。一方で、それは右手小指がやや疲れるという問題も抱えているので、右手小指がやや疲れやすいという欠点もある。むろん、小指の負荷が全く考えられていないわけではなく、比較的頻度の低い文字の打鍵を中心にするなど、そこらへんの配慮はあるがやや疲れる。

 

#私のカスタム配列はここの負担はほとんどなくなるようにしている。代わりに単打率は下がって速度は犠牲になっている。

 

日本語特有の高頻度の約物が打ちやすい。

などが簡単に打てるようになっており、日本語で高頻度で利用する約物類を高速に打鍵できるため、便利。

 

人間の入力リズムを前提とした句読点と助詞の配置 #2020年4月14日追記

 「、」「。」は、記号の利用頻度というだけで考えると単打にすべき記号だと言える。「。」は20位前後、「、」は10位前後で登場する音である。

 しかし、飛鳥配列では、あえて右手の同手シフト下段に句読点が配置されている。これは、一見すると文字としてのつなぎがわるいように見える。

 だが、実際に打鍵をしてみるとこれはそれほど気にならない。それもそのはずで、句読点はいずれも文の末尾にくる記号のため、句読点は連続で打鍵するときには、いつも最後の一文字になるため、次に連なる文字を気にしなくてもよい。句読点は「リズムを断ち切る」文字であり、次の文字を気にしなくともよい。

 実際、私の配列では、単打率だけを考えて、句読点を単打にしたのだが、それほど入力スピードが向上したという実感はないので、句読点を単打にしないというのは適切な戦略であるように思う。

  こうした文字の配置の戦略は、「はがをに」などの文の切れ目をつくる助詞としての役割が強い音に対しても、これに近い対応が行われている。句読点と比べると完全に文の切れ目ばかりだというわけでもないので、もう少し控えめな位置ではあるが、「が」を除けばいずれもホームポジション周辺に置かれている。

 

 

参考: