大学生の奨学金受給率が現在47.5%まで上昇しているというデータを知ったので少し調べてみた。
下記のこちらのサイトで、奨学金受給率が見られる。
2016年のデータについては、下記でまとめられている。
関関同立で3割~4程度。京大でも2割弱。
GMARCHは、2割~2.5割。東大一橋東工大は、1.3割~1.5割程度。
学費の高い大学の奨学金受給率が高くなるのは当然だろうが、関東と関西を比べると、関西のほうが明らかに奨学金受給率が高い。また、地方都市の大学であればあるほど、苦しい状況が見て取れる。旧帝大であっても、たとえば、東北大学で3割強、九州大学は4割強。
また、慶應義塾大学の受給率が11%とやたら低いのは、通信制の過程を含むからだろう。
そして、私立大学でも国立大学でも、偏差値の高い大学のほうが、受給率が低いという傾向が見られるが、これはおそらく親が教育投資をできるだけの収入のある家庭の子供が高偏差値校に進学しやすいという事情を反映していると見ればいいのだろうか。
ここらへんの感想は、参照元のページの方もほとんど同じことを書いている。
単純な重回帰式で表すなら、おそらく、
奨学金貸与率 = b1*学費 + b2*偏差値 + b3* 所在地の平均世帯収入 + b4* 保護者の平均世帯収入 + b5* 通信制の学生の比率
みたいなモデルで、それなりに説明がつきそうな印象はあるが、年々奨学金貸与率の全体が上昇しているということは、大学進学率の増加と日本全体のジニ係数の増加とかで説明すればいいのかな?
なお、授業料の国際比較は下記に掲載されている。アメリカの私立大学のようなアホみたいな金額を例外とすれば、日本の大学の学費はOECD諸国でも高い方に属している。
論文もいくつか見つかる。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaher/15/0/15_115/_pdf
小林さんの本は、手にとっていないが、ネット上で読める論文だけみても、きちんと国際比較までなされており、興味深い議論になっている。
そもそも、奨学金受給率の上昇は単に国内状況というよりは、国際的な状況となっており、この状況に対しては、国内問題として捉えるよりは、国際的な制度論として検討していく必要があるタイプの話のようだ。